「現場じゃないけど、現場を知らないとできない仕事」という世界
製造業の間接業務を一言で表すとしたら、私はいつもこう言う。
「現場じゃないけど、現場を知らないとできない仕事」
図面が読めなければ設計の意図は理解できない。設計の意図が理解できないと、購買で「なぜこの材質でなければいけないのか」が判断できない。材質の根拠が分からなければ、メーカーへの仕様変更の相談もできない。
工程を知らないと原価は積算できない。プレス工程と溶接工程ではサイクルタイムも段取り時間も設備コストもまったく違う。「ざっくり工賃で計算」した見積書は現場の実態とかけ離れ、安すぎるか高すぎるかのどちらかに偏る。
機械の動きを知らないと生産計画は組めない。段取り替えにかかる時間、設備の稼働率の変動。これを肌感覚で知っているかどうかで、計画の精度が全然違う。
間接担当者は、現場の論理で考えながら、管理の言語で表現する仕事をしている。ブルーカラーとホワイトカラーの境界線上にいる。製造業でしか生まれない、独特のポジションだ。
私はこれを「ちょっと青みがかった仕事」と表現している。白でもなく、青でもない。両方を理解していないと成立しない。だからこそ面白いし、簡単には他に置き換えられないスキルが育つ。
私自身を振り返っても、営業時代に「現場の論理で考える」訓練を受けたことが、後のバイヤーとしての仕事を根本から支えた。工程を知っているから、サプライヤーの原価の根拠が合理的かどうか判断できた。
製造業の間接担当者は、もっと自分の仕事に誇りを持っていい。「現場の言葉」で話せる間接担当者を目指してほしいと思う。それが最終的に、自分のキャリアの強みになる。
